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【逆転裁判6】第1話「逆転の異邦人」レビュー

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△「右耳を集中させますので、もう一度お願いします」

 

逆転裁判6の第1話「逆転の異邦人」のレビュー。

※ネタバレ注意!

 

真犯人の行動

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日時不明

ポットディーノ(真犯人)は秘宝を盗むためにジーイン寺院の住職の位に就く。

住職に与えられるミタマのカギを使い、秘宝の箱を解錠、秘宝をインガに渡す*1

4月23日午後12時頃

午前の奉納舞を終えたポットディーノはダマランを置きに倉庫へ向かう。

倉庫に向かう途中、秘宝の箱を盗み出したミーマの姿を見る*2

秘宝が無いことに気付かれては確実に自分が疑われるため、ミーマ殺害を決意。

ブレイカーを落として停電させ、秘宝の箱の光を目印にしてミーマをダマランで撲殺。

このときボクトは逃走し、自分の指紋がついた連絡書を落とす。

血痕が付着した秘宝の箱と、連絡書を見たポットディーノはボクトに濡れ衣を着せることを思いつき、ミーマの死体と秘宝の箱、連絡書を持って宝物庫へ(台車を使ったかは不明)。

宝物庫にそれらを置き、秘宝がミーマ殺害時に盗まれたように見せかけるために秘宝の箱をミタマのカギで開けた。

その後、凶器として使用したダマランを燃えるゴミに出して処分。

初見プレイ時ミス箇所

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無し。

 

物語の概要

逆裁シリーズでたまにあるサスペンス形式*3の第1話。

チュートリアルに加えてクライン王国という異国の地を舞台として導入する役割も担っており、第5話まで繋がる伏線も多数。

このように色々詰め込んだためか物語自体がそこそこ長くなっており、事件現場や凶器が偽装され、動機の証明も要するなど、歴代の第1話よりも若干高難易度に思えた。

みぬきの初舞台があるのに何故成歩堂が早めにクライン王国に行ったのかはプロローグで明かされる*4

 

良いと思った点

  • クライン王国の導入編、裁判パートのチュートリアルとしての役目をしっかり果たしている。
  • (歴代1話に比べ)そこそこ難易度があるため、あまり退屈しない。
  • ボクトの描写が丁寧で、初登場のキャラクターながら守るべき人物にしっかり仕立てている。
  • 成歩堂がボクトの信頼を勝ち取るまでの展開において、成歩堂の性格を丁寧に描いており、「逆裁シリーズ」の導入編として見ても秀逸。
  • 真犯人の豹変モーションが面白い(「それ、コードだったのか…」と驚いたのは私だけではないはずだ)。

 

問題点

  • アマゾンレビューでも散々指摘されている*5ようにポットディーノの歌って証言するモーションが長い上に回数も多くて不評。しかし問題なのはテンポを悪くする要素を入れてしまったこと自体よりも、ポットディーノの歌う証言には非常に手間がかかっていることが開発者ブログ*6やサウンドトラックの解説冊子*7で再三述べられており、ゲームに限らず創作物ではよくあるミスである「手間がかかった所を無闇に押し出す行為」をやってしまった疑いが強い所だ*8
  • (1話に限ったことではないが)傍聴人が騒ぎ立てる演出も長くて回数が多く、テンポを悪くしていると批判されている*9。また、(物語の構成上仕方ないが)大半が弁護士、つまりプレイヤーへの批判なので心理的にも不快な部類に入る。
  • 以上2つの問題点は、オプションでスキップ機能をONにすることで緩和されるが、特に誘導もないためわざわざ初見でこの機能を入れる人は稀だろう。
  • (これも1話に限ったことではないが)回想が多く、その度ローディングが挟まるのでテンポが悪い*10
  • ポットディーノの証言にBGMを合わせるため、証言を進める毎にBGMが途切れる。

 

  • 御霊の託宣の最中に、広間の歌の練習の様子がスピーカー経由で寺院中に流れていたことが判明するが、奉納舞の歌ならともかく、その練習の様子をスピーカーで放送するのはかなり不自然である。さらに言えば僧侶ですら立ち入りが禁止されている宝物庫にスピーカーがあるのもおかしい。
  • 秘宝の箱は一旦施錠されると、成歩堂が思いきり力を入れてもびくともしない構造になっている。体格の良い成人男性がこじ開けられないなら9歳の被告人に開けられないことは明白なのだが、その点は指摘することができない。
  • 秘宝の箱についていた血痕は被害者がダマランで撲殺されたときについたもので、これだけの量の血液が飛び散ったなら大階段にも痕跡が残ったと考えるのが普通であるが、この辺りのフォローがなされていない*11

 

総括

クライン王国の現状や裁判制度の解説、及びチュートリアルや伏線張りの役目を果たしながら、それなりの難易度と長さがあり、実に存在感のある1話に仕上がっている。

しかし、テンポの悪い演出が多いのは1話としてはかなり痛く、多数のレビューでその点を批判されている。これは物語に直接関係ない部分とはいえ、無視できない問題点である。

 

*1:裁判の後、インガは秘宝が革命派に渡ったと説明しているが、これは虚偽

*2:ボクトを見たというのは嘘。ボクトは秘宝を見に行く途中に大階段でミーマと会っている

*3:読者や視聴者の視点で見て、最初に犯人が分かるのがサスペンス、分からないのがミステリーである

*4:1話冒頭で成歩堂が真宵に空港から連絡したことが分かるので、成歩堂到着までに真宵の携帯電話は復活したようだ

*5:例えばこれこれ

*6:演出チームの大西氏のブログサウンド担当の堀山氏のブログを参照

*7:「ポットディーノ ~ Head-Banging」の堀山氏の説明より

*8:BGMとテキストがリンクし、歌っているかのように証言が行われる動作に関しては確かに面白いが、ゲームを進めることを第一に考えているであろうユーザーに対し、そう何度も何度も見せるべきものではない(さらに言えば、単に実装が面倒なだけで、技術面、演出面で素人目でもすぐ分かるほど革新的だったというわけでもない)。おそらく歌の証言を作るノウハウをせっかく編み出したのだから沢山使わなければ勿体無いという理由で詰め込んだのだろう

*9:同じくアマゾンレビューから。これこれ

*10:私は3DSLLでプレイしていたが、New3DSだと緩和されるのだろうか?

*11:ポットディーノの工作に大階段の血痕の抹消も含まれていた、クライン王国では科学捜査がさほど浸透していないため現場と思われた場所以外にルミノール検査をするほどの余裕がなかった、などのフォローが考えられる