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ゲームキューブコントローラーのスティック跳ね戻り問題をコンデンサで解消する方法

この記事では、ゲームキューブコントローラー(以下GCコン)で発生するスティックの跳ね戻り誤動作を、セラミックコンデンサを取り付けて防ぐ方法を解説する。ただし、導入は自己責任で行ってほしい。

最新スマブラモデルのGCコンでは、倒したスティックから指を離した際、勢い余って逆方向に一瞬入力される誤動作がしばしば起きる。これをスティックの跳ね戻り(snapback)と呼び、たとえばスマブラではダッシュつかみが勝手に反転したり、反対方向のステップが誤爆したりする不具合を引き起こす。そこで、スティックのセンサー回路にコンデンサをハンダ付けして挿入し、跳ね戻り時の信号変化を緩やかにして逆方向への入力を防止する。*1 *2

以下の動画はコンデンサ取付前後のスティックの挙動を比較したものである。コンデンサ取付後は跳ね戻りが発生していないことが確認できる。

 

画像跳ね戻り時の入力信号。画像はリンク先から転載

 

画像コンデンサ挿入前後の入力信号比較。画像はリンク先から転載

 

 

準備物

  • GCコン
  • Y字ドライバー
  • ハンダゴテ
  • ハンダ
  • ハンダ吸い取り線
  • 静電容量470-680nF程度のセラミックコンデンサ (参考 自分が使用した物)
  • (カッターナイフ)
  • (セロハンテープ)
  • (ニッパー)

コンデンサの静電容量は新しいコントローラーほど大きくする必要があるが、470-680nFであれば新品から軽度の中古品のコントローラーまでカバー可能。9ヶ月以上使用してセンサーの劣化が進んだコントローラーには100-330nFのコンデンサを用意する必要がある。*3 *4

 

手順

  1. Y字ドライバーでGCコン背面の6本のネジを外し、裏蓋を取る

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  2. 内部基盤を取り外す。画像赤丸部分に巻き付いているケーブルを取り外す必要がある

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  3. 内部基盤から黒プラスチックのプレートを取り外す。赤丸部分が次の工程でハンダ付けを行う箇所。左右だけでなく上下の跳ね戻りも防ぎたい場合は青丸部分にもコンデンサを取り付ける

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  4. セラミックコンデンサをハンダ付けして取り付ける。コンデンサの脚部が長すぎる場合は事前にニッパー等でカットする。セロハンテープ等でコンデンサを仮固定してから行うと楽。なお、セラミックコンデンサは無極性なので取付向きはどちらでもよい。ハンダを溶かしすぎて隣とくっついてしまった(短絡した)ときは、ハンダ吸い取り線で余分なハンダを除去する。火傷に注意!

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  5. 黒プラスチックのプレートと裏蓋を戻す。赤丸の箇所がハンダ付けしたコンデンサで、プレートと接触する場合はカッター等でコンデンサ周辺のプレートを削ってもよい。裏蓋を取り付ける前に、オレンジ丸で示した部品を上端にスライドしておくこと(そうしないとLRトリガーを押し込めなくなる)

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以下にKadano氏の参考動画を載せる。ただし、この動画ではコンデンサを直接ハンダ付けせず、カットしたジャンプワイヤーをハンダ付けしてワイヤーとコンデンサを接続する手法をとっている。部品と手間は増えるが、後々コンデンサを交換しやすいメリットがある。

 

補足 コンデンサ入りGCコンはスマブラ大会でも使用できるか?

この手の改造を禁じたルールは現状見たことがなく、おそらく大会でも問題なく使用できる。では今後はどうなるだろうか?

まずオンラインの大会ではコントローラーの制限が不可能なので当然使用できる。問題はオフラインの大会だが、コンデンサの有無を確認するにはコントローラーを分解するかX線検査の類を使うしかなく、チェックが非常に困難なので今後も使用できる環境が続くと思われる。*5

基準によってはハードウェアチートに該当すると言えなくもないが、自分は下記の理由から導入を決定した。

  1. コンデンサ取付後の挙動は、通常のGCコンでも再現可能である。センサーが理想的に劣化したGCコンや、スマブラX時代に販売されていた旧モデルの白GCコンで跳ね戻りが発生しない例も報告されている。つまり公式製品で実現可能な状態を再現しているに過ぎない
  2. 跳ね戻りは必ず発生するわけではなく、仕様というより単なる欠陥である。発生確率はおおよそ3割程度で、無用なランダム要素になっている
  3. 前述の通り、コンデンサ有無のチェックには手間がかかるため、結局はオフ大会でも今後ずっと使用できる可能性が高い。使用可能な環境である以上、使用を控えても単に不利になるだけである

 

 

*1:コンデンサを挿入する方法の他に、3号グリスをスティックの軸に入れる方法がある。しかし、自分が試したときは一瞬だけ効果を得られたものの、すぐグリスが軸から飛び出してしまいほぼ意味はなかった。コンデンサ挿入法を解説したKadano氏からも非推奨とされている

*2:ちなみにSwitchプロコンでも跳ね戻りは発生する。たとえばポケモンユナイトで意図した方向と逆に技が出てしまうのは跳ね戻りが主な原因である

*3:チップコンデンサを使用した例も報告されている。ハンダ付けの難易度は上がりそうだが、回路周りがスッキリするので一考の余地あり

*4:静電容量と対応コントローラーの詳細は、この記事内の"3. 100nF - 1µF capacitor between pins 2 and 3 of the stickbox (updated 2020-11)"の欄を参照

*5:重量で確認できるのでは?と思うかもしれないが、たとえば今回使用したセラミックコンデンサは0.19gしかない。この程度の重量変化は塗装やシール、汚れなどでも起きてしまうし、内部の適当な部分を肉抜きすれば重量を変化させずに取り付けることもできる